衣と手による形成説
主張5件
衣と手に分ける伝統説にはソの甲乙差が残る。麻から衣への意味変化を想定する馬淵の案がある。 漆原は清音字の例を古いソテの証拠とする。清音字による濁音表記の可能性もあり、濁音化の時期は確定しない。
衣を表すソと手を表すテを構成要素とする衣手説がある。
精選版日本国語大辞典が語源説として挙げ、漆原も採る。構成要素の同定と清濁が変わった年代は別の主張である。
精選版日本国語大辞典 2006 伝聞
- 文献
- 精選版日本国語大辞典 辞典
- 立場
- 伝聞(他の説として伝えます)
- 箇所
- そ‐で【袖】、補注
漆原直道 1975-12 提唱
- 文献
- 「ソデ」考 ――万葉集における「テ」の仮名の清濁をめぐって―― 論文/高知大國文
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- p. 14、衣手説についての段落
精選版日本国語大辞典は衣のソが乙類、袖のソが甲類であることから衣手説を疑問とする。
連濁によるtからdへの変化だけでは初頭音節の甲乙差を説明できない。 甲類の衣を別に仮定する説については、その語の文証と意味変化の裏付けが要る。 この反論だけから衣服に関わるあらゆる形成説を排除することはできない。
精選版日本国語大辞典 2006 疑問
- 文献
- 精選版日本国語大辞典 辞典
- 立場
- 疑問(別の説に疑いを置きます)
- 箇所
- そ‐で【袖】、補注
漆原が引く馬淵和夫の説明は、麻のソ甲類から衣を表すソ甲類も存在した可能性を考える。
漆原p. 14の引用を介して確認した説であり、馬淵の原本は未照合である。 引用文は「あったかも知れず」と可能性を述べる。衣を意味するソ甲類の直接の用例はこの箇所に示されない。
漆原直道 1975-12 伝聞
- 文献
- 「ソデ」考 ――万葉集における「テ」の仮名の清濁をめぐって―― 論文/高知大國文
- 立場
- 伝聞(他の説として伝えます)
- 箇所
- p. 14、馬淵和夫『上代のことば』p. 118の引用
漆原はソテを古い発音とし、語の熟合に伴ってソデへ濁音化したと考える。
p. 13の24例の表とp. 14の作者・巻別分布を根拠とする。字形は校訂せず、字音仮名の音価も既定として扱うと明記する。 衣手という語構成が発音史の前提に入り、発音しやすさと熟合による説明には独立の検証が要る。 p. 15は清音仮名の箇所をソテと読むよう提案するが、ONCOJは万葉集15.3625の蘇弖もswodeと読む。 清濁の分布表と実際の発音変化の年代を同一視しない。
漆原直道 1975-12 提唱
- 文献
- 「ソデ」考 ――万葉集における「テ」の仮名の清濁をめぐって―― 論文/高知大國文
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- pp. 13–15、ソデの表とその解釈
Martinは、袖などの第二音節が通常は清音を表す仮名でも書かれることを清濁表記の問題として扱う。
p. 112は提の東国歌での両用と、弖がswodeなどの第二音節を書く例を挙げる。 マデの節で、清音・濁音の字形が共存することから発音も二つあったとする推論の前提を問題にする。 漆原への直接の反駁としては扱わず、清音字の証拠価値を検討する別の説明として置く。
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
- 文献
- The Japanese Language through Time 書籍
- 立場
- 記述(そう書いてあります)
- 箇所
- p. 112、第2章§4.6