語源項目

uraganasi

うらがなし・心悲し・うら悲し

文証 上代日本語 形容詞(シク活用)

うら悲し(上代日本語)

資料横断で引く うらがなし
関係する語を引く うらかなし

単位 1件

うらがなし 心悲し・うら悲し 文証
言語
上代日本語
種別
品詞
形容詞(シク活用)

語形2件

うらがなし uraganasi 文証
uraganasi 編集

音素表記。万葉仮名の表記は各用例が持つ。

語形の状態 文証 再建 編集 説内
主張の等級 定説 通説 提案 推測 疑義

語義1件

なんとなく悲しい。心にしみて悲しい。

諸説 2説/主張9件

ウラ=心説

主張3件

うら(心)+かなしの複合とみる辞書類の通説。

切れ目 定説 共有: 再帰接頭辞説

同じ主張が複数の説に含まれます。等級、出典、根拠は共通します。

うらがなしは「うら」と「かなし」に切れ、結合部でかなし→がなしの連濁を示す。

競合する両説がともにこの切れ目を前提とする。

常藍守奏 (@cppig1995) 2026-05-23 前提
文献
常藍守奏 (@cppig1995)・2026-05-23 X投稿/X (twitter.com)
立場
前提(明言せずに前提します)
箇所
箇所の指定なし
語形成 通説

うら(心)とかなしの複合により成る。

辞書類が一致して記す通説。初出の提唱者は未特定。辞書本文の逐語確認は入手待ちで未了。

常藍守奏 (@cppig1995) 2026-05-23 伝聞
上代日本語の接頭的な「うら」は、「心」の意とされますが
文献
常藍守奏 (@cppig1995)・2026-05-23 X投稿/X (twitter.com)
立場
伝聞(他の説として伝えます)
箇所
箇所の指定なし
同定 通説

ONCOJはうらがなしの第一要素を名詞uraと分析し、その語彙素の語義に 「heart, meaning」を挙げる。

第三者の注釈付きコーパスが形態素の品詞として名詞を与える。語誌の主張として 立てたものではなく、注釈の設計に伴う分析である。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
ura / noun / inside, underside; heart, meaning; future, limit
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml 語彙素l050109、およびMYS.14.3500の語構造注釈

再帰接頭辞説

主張3件

代替 ウラ=心説に対して

うらを再帰接頭辞*ura-とみて、かなしの「悲しい」義もうらがなしの切断で説明する新提案。

切れ目 定説 共有: ウラ=心説

同じ主張が複数の説に含まれます。等級、出典、根拠は共通します。

うらがなしは「うら」と「かなし」に切れ、結合部でかなし→がなしの連濁を示す。

競合する両説がともにこの切れ目を前提とする。

常藍守奏 (@cppig1995) 2026-05-23 前提
文献
常藍守奏 (@cppig1995)・2026-05-23 X投稿/X (twitter.com)
立場
前提(明言せずに前提します)
箇所
箇所の指定なし
語形成 提案

再帰接頭辞*ura-とかなし(愛し)の複合により成り、語源的意味は「自分のことを可愛がる」である。

単一のX投稿による未査読の提案(2026-05-23)。

常藍守奏 (@cppig1995) 2026-05-23 提唱
私はこれが再帰接頭辞だと考えています。(…)再帰接頭辞仮説では、「うらがなし」の語源的な意味は「自分のことを可愛がる」です。
文献
常藍守奏 (@cppig1995)・2026-05-23 X投稿/X (twitter.com)
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
箇所の指定なし
切断 提案

かなしの「悲しい」義は、うらがなしの切断により生じた二次的な義であり、本来の義は「愛しい」である。

再帰接頭辞説の一部をなす主張で、同じX投稿のみを出典とする。

常藍守奏 (@cppig1995) 2026-05-23 提唱
「かなし」の二つの意味のうち、「愛しい」を本来の意味、「悲しい」を「うらがなし」の切断とします。
文献
常藍守奏 (@cppig1995)・2026-05-23 X投稿/X (twitter.com)
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
箇所の指定なし

その他の主張4件

用例の同定 定説

万葉集の7例(二・一八九、八・一五〇七、十四・三五〇〇、十五・三五八四、十五・三七五二、 十九・四一七七、十九・四二九〇)はいずれもうらがなしの例である。

ONCOJが7例すべてを語彙素uraganasi(l080391)に立て、CHJの語彙素ウラガナシイも 全体7・巻別の内訳が一致する。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素l080391および各歌のXML
吉村誠 2019 記述
文献
万葉集テキストデータ データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
旧国歌大観番号189・1507・3500・3584・3752・4177・4290
音韻変化 定説

結合部の連濁は表記に現れる。全表音表記の3例(十四・三五〇〇、十五・三五八四、 十五・三七五二)はいずれも濁音仮名の「我」で書き、清音仮名の「加」を用いない。

上代特殊仮名遣の枠内で清濁を書き分ける音仮名表記により、推定ではなく表記から確かめられる。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
MYS.14.3500・MYS.15.3584・MYS.15.3752のcorresp属性
訓読 提案

十四・三五〇〇の宇良我奈之家乎について、吉村誠校訂本文は訓読を「うら愛しけを」とし、 ONCOJは語彙素uraganasi「deeply sad」に立てる。

資料間で当て字と語義の割り当てが分かれる1例。原文は全表音表記であり、 表記からは愛・悲のいずれとも決まらない。

吉村誠 2019 記述
文献
万葉集テキストデータ データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
旧国歌大観番号3500の訓読欄
National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
MYS.14.3500、語彙素l080391
語義の配当 通説

ONCOJはかなしの語義を「dear, adorable」「pitiful」「sad」の順に挙げる。

語彙集の語義の並びであり、その並びが史的な前後を示すとは述べられていない。 かなしの本義をめぐるc-kanasi-clipの当否は、この並びからは決まらない。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
kanasi / adjective / dear, adorable; pitiful; sad
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml 語彙素l007022

関連する単位3件

うら 文証

うら【心】

うらむ・うらやむ・うら悲し等の複合に現れるとされる語。辞典逐語確認は未了。

かなし 文証

かなし(愛し・悲し)

*ura- 説内

再帰接頭辞とされる*ura-

用例7件

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻二・一八九(旧国歌大観番号)
表記
真浦悲毛
転写
ma ura ganasi mo

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻八・一五〇七
表記
裏悲尓
転写
ura ganasi ki ni

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻十四・三五〇〇
表記
宇良我奈之家乎
転写
ura ganasi kye wo
全表音表記。訓読の当て字が資料間で分かれる(c-read-3500)。

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻十五・三五八四
表記
宇良我奈之家武
転写
ura ganasi kye mu

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻十五・三七五二
表記
宇良我奈之伎尓
転写
ura ganasi ki ni

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻十九・四一七七
表記
宇良悲
転写
ura ganasi ni

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻十九・四二九〇
表記
宇良悲
転写
ura ganasi

外部データベース1件

語誌情報ポータル(語誌データベース) 国立国語研究所

かなし関連の研究文献22件(1952–1983、阪倉篤義・佐竹昭広・谷村能男・松浦照子ほか)が 悲しい/カナシイ/形容詞-一般の項に登録されている。

https://goshidb.ninjal.ac.jp/goshidb/word.php?goiso=悲しい&reading=カナシイ&hinshi=形容詞-一般