語源項目

nageki

なげき・嘆

文証 上代日本語 名詞 甲乙: ゲ乙類・キ甲類

なげき【嘆】(上代日本語nageki)

資料横断で引く なげき
関係する語を引く なげく

単位 1件

なげき 文証
言語
上代日本語
種別
品詞
名詞
National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
nageki / noun / deverbal
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml 語彙素l031276b

語形0件

語形情報はありません。

語形の状態 文証 再建 編集 説内
主張の等級 定説 通説 提案 推測 疑義

語義1件

嘆くこと。嘆息。

名詞の語彙素は独立の語義欄を持たず、動詞の語義がdeverbalの注を通じてかかる。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 前提
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
前提(明言せずに前提します)
箇所
lexicon.xml 語彙素l031276aのsense 1「sigh」・sense 2「weep」

諸説 3説/主張9件

*naga-+*iki複合・再分析説

主張4件

*naga-と*ikiの複合、*nagaikiから*nagekiへの形変化、連用形に見立てた*nagek-への再分析、動詞nagekへの継承を置く編纂案。

語形成 提案

*naga-「長」と*iki「息」の複合結果として*nagaikiを立てる。

編纂案。外部の典拠と音韻論的年代は未確認。現代語ながいきを入力に置かない。

編纂者 2026-08-17 提唱
文献
*naga-+*ikiと「なげく」の形成案 覚え書き/編纂者覚え書き
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
箇所の指定なし
音韻変化 提案

*nagaikiから*nagekiへの形変化を想定する。

編纂案。変化を支える音対応と並行例は未確認。

編纂者 2026-08-17 提唱
文献
*naga-+*ikiと「なげく」の形成案 覚え書き/編纂者覚え書き
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
箇所の指定なし
再分析 提案

*nagekiを動詞の連用形に見立て、動詞語幹*nagek-として再分析したとみる。

編纂案。再分析を直接述べる外部の典拠は未確認。

編纂者 2026-08-17 提唱
文献
*naga-+*ikiと「なげく」の形成案 覚え書き/編纂者覚え書き
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
箇所の指定なし
継承・形変化 提案

再分析された*nagek-が上代日本語の動詞nagekとして継承されたとみる。

上代日本語nagekの文証はONCOJで確認できる。再建語幹からの継承は編纂案。

編纂者 2026-08-17 提唱
文献
*naga-+*ikiと「なげく」の形成案 覚え書き/編纂者覚え書き
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
箇所の指定なし
National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l031276a

ONCOJの派生名詞分析

主張1件

方向の競合 *naga-+*iki複合・再分析説に対して

動詞nagekを先に置き、名詞nagekiを派生名詞とするONCOJの分析。

派生 通説

ONCOJは名詞nagekiを動詞nagekの派生名詞として立てる。

注釈付きコーパスの語彙素分析で、編纂案の再分析方向と競合する。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
nageki / noun / deverbal
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l031276b

Wikipedia記事の*naNka-ik-内的再建

主張2件

類似する別分析 *naga-+*iki複合・再分析説に対して

*naNka-と*ik-を入力に置き、nage₂k-へ至るとする記事の報告。*nagaikiを中間形とする編纂案とは単位と経路が異なる。

語形成 疑義

Wikipedia「日琉祖語」は、なげくの内的再建を*naNka-ik-「長-生く(長く息を吐く)」と報告する。

Wikipedia版110111359の当該箇所に個別の出典が付かない。記事が示す形をそのまま報告し、外部の学術資料で確認するまで編纂案への支持としない。

日本語版Wikipedia執筆者 revision 110111359; 2026-06-30 伝聞
nage₂k-「嘆く」< *naNka-ik-「長-生く(長く息を吐く)」
文献
日琉祖語 ウェブ資料/Wikipedia日本語版
立場
伝聞(他の説として伝えます)
箇所
「母音体系」節「中段母音」、内的再建の例
音韻変化 疑義

Wikipedia記事の内的再建では、*naNka-ik-から上代日本語nage₂k-が生じる。

音変化の段階と個別出典が記事に示されない。

日本語版Wikipedia執筆者 revision 110111359; 2026-06-30 伝聞
文献
日琉祖語 ウェブ資料/Wikipedia日本語版
立場
伝聞(他の説として伝えます)
箇所
「母音体系」節「中段母音」、内的再建の例

その他の主張2件

用例の同定 定説

万葉集の10例(二・一九九をa本・b本の2例に数える)がなげきの例である。

ONCOJが10例を語彙素l031276bに立てる。吉村誠校訂本文の仮名も該当箇所を「なげき」と読む。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素l031276bおよび各テキストのXML
吉村誠 2019 記述
文献
万葉集テキストデータ データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
巻二・一九九、巻四・六四六、巻七・一一二九、巻十三・三二七六・三三四四、巻十四・三五二四、巻十五・三六一六・三六九一、巻十八・四一三五
再建 提案

マーティンはnageki(3.4類)を*nanka ik[a-C]i「long breathe」に、動詞nageku < nageyku < *naga-iku < *nanka ika-に立てる。長い息という語構成の分析を、時代を特定しない星印形で印刷する。

naga「長」とik-「息をする」の複合という通説の分析を、再建形の連鎖として明示する。

Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
nageku < nageyku < *naga-iku < *nanka ika- ('long breathe'). 'sigh; lament, deplore'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
名詞はp. 491、動詞はp. 731(星印の扱いはp. 364)

関連する単位9件

なげく 文証

嘆息する。泣く。

ONCOJは94例(万葉集91・日本書紀歌謡3)を語彙素l031276aに立てる。異綴nakyekは「nagekの誤写」の扱いで、動詞形はMYS.18.4106の1例に現れる。使役形nagekaseは別の語彙素l032080aに立つ。

*naga 説内

長い。

*iki 説内

息。

*nagaiki 説内

*naga-と*ikiの複合結果。

現代日本語ながいきとは別の再建単位。

*nageki 説内

*nagaikiからの形変化を想定した中間形。

*nagek 説内

*nagekiを連用形に見立てて再分析したとされる動詞語幹。

*naNka-ik- 説内

Wikipedia記事が「長-生く(長く息を吐く)」と説明する内的再建形。

*nagaikiと同一視しない。記事の形は*naNka-ik-で、入力単位・鼻音・語末の扱いが異なる。

*naNka- 説内

Wikipedia記事が*naNka-ik-の第一要素として「長」に当てる形。

記事は編纂案の*naga-との対応を述べない。

*ik- 説内

Wikipedia記事が*naNka-ik-の第二要素として「生く」に当てる形。

記事は上代日本語ikおよび編纂案の*ikiとの対応を述べない。

用例4件

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻二・一九九(柿本人麻呂の挽歌、a本・b本)
表記
嘆毛
転写
nageki mo
長歌の一節。a本(MYS.2.199a)lb122とb本(MYS.2.199b)lb121に同じ表記が現れ、ONCOJは2例に数える。訓異は「なげきも、〔寛〕なけきも」。

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻七・一一二九
表記
嘆先立
転写
nageki saki datu
短歌。題詞は「倭琴を詠む」。

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻十三・三二七六
表記
八尺之嗟
転写
ya saka no nageki
長歌の一節。直前の句の「我が嘆く」は動詞nagek(語彙素l031276a)の例で、表記八尺之嗟が名詞にあたる。

引用本文は収録していません。原典で確認できます。

資料
oncoj-2021・manyoshu-yoshimura-text
箇所
巻十四・三五二四(東歌)
表記
奈気伎曾安我須流
転写
nageki so a ga suru
短歌。吉村誠校訂本文の事項欄は東歌・相聞・植物・動物・序詞・恋情。

書誌 2件

採録元: 語彙研究文献語別目録

目録はなげきの見出しを持たない。嘆の字を代表表記に持つ見出しは次の2件。

見出し著者文献名書誌
―やなげかむ
木下正俊「〈斯くや嘆かむ〉という語法」『万葉集研究7』昭53・9塙書房ページ84。
なげかす
嘆為
佐竹昭広『万葉集抜書』昭55・5岩波書店ページ270。

外部データベース1件

語誌情報ポータル(語誌データベース) 国立国語研究所

語彙素「嘆き」の項は語誌DBの見出し索引(2026-08-20取得)にあり、実在する。項目本文の内容は未確認。URLは語誌DBの照会形式に語彙素・読み・品詞を当てはめたもの。

https://goshidb.ninjal.ac.jp/goshidb/word.php?goiso=嘆き&reading=ナゲキ&hinshi=名詞-普通名詞-一般