死ぬのsin-
主張4件
島袋2007の付録はこの語を扱わない。マーティンは2つの道筋を疑問符付きで並べる。 *siとin-の複合とみる切り方と、*sina-に遡らせる形である。どちらを取るかは述べない。
マーティンはsinuの活用を混成のもの(hybrid conjugation)とし、sini[y]-とsin-の2つの語幹を挙げる。
動詞の表の見出しの書き方による記述で、アクセント類はA*と星印つきで記される。 日本書紀のアクセント資料6箇所をいずれもAとして挙げる。
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
A* sinu < sini[y]-/sin- (hybrid conjugation) 'die'. … A - A-A-A A-A-A. NS (80a, 107a, 109a [11:319-K], 109b [11:322-K], 131a, 134a) A. NS (T+ 81) sinamasi HL|HH. Km (W) A. Edo A.
- 文献
- The Japanese Language through Time 書籍
- 立場
- 記述(そう書いてあります)
- 箇所
- 第6章§6.6(p. 752)
同じ主張が複数の説に含まれます。等級、出典、根拠は共通します。
マーティンはsinuを*si+ini[y]-/in-の複合として切る分析を疑問符付きで挙げ、 その*si-をさらに*siy-・*so(-)Ci-「死ぬ」に遡らせる。sosu・sise[y]-「殺す」と 朝鮮語ci-「死ぬ、萎れる、過ぎ去る」を比較対象に置く。
切り方にも、その先の*si-の遡形にも疑問符が付く。 切り方の後部にあたるini[y]-/in-は、ONCOJの語彙素l030186a(語形in、 語義「depart」「die」、47例)と綴りの上で重なる。 マーティンはこの分析の中でinuを引くため、mina(research/entries/midu-water.yaml)や kabu(research/entries/kubi-neck.yaml)と異なり、出典自身が両者を結ぶ。 朝鮮語との比較は語形と語義を並べるにとどまり、音対応を示さない。
Martin, Samuel Elmo 1987 疑問
?< *si - ini[y]-/in- < *si[yi] inᵃ/₀-Ci-/ina-, with a verb *si- ?< *siy- < *so(-)Ci- 'die' (cf. sosu = sise[y]- 'kill', Korean ci- 'die, wilt; pass by/away')
- 文献
- The Japanese Language through Time 書籍
- 立場
- 疑問(別の説に疑いを置きます)
- 箇所
- 第6章§6.6(p. 752)
マーティンは切り方に代わる遡形として*sina-Ci-・*sina-も疑問符付きで挙げ、 さらにその前に*zin-を置く可能性に触れてinuを比較対象とする。
疑問符付きで併記される2つ目の道筋にあたる。 その前の*zin-にも疑問符が付き、語頭の有声子音を置く根拠は項に示されない。 切り方(*si+in-)と遡形(*sina-)の2つを並べ、どちらを取るかを述べない。
Martin, Samuel Elmo 1987 疑問
?< *sinᵃ/₀-Ci-/sina- (?< *zinᵃ/₀-Ci-/zina-, cf. inu)
- 文献
- The Japanese Language through Time 書籍
- 立場
- 疑問(別の説に疑いを置きます)
- 箇所
- 第6章§6.6(p. 752)
日琉言宝は水納方言sʉn「死ぬ」にUniCog作業ID「死.s.v」を付し、『日琉語類別語彙』は同じ組に日本語sin-を置く。
日琉間の同源語接続をデータセットで確認できる。祖語の具体的な母音と活用類はこの接続だけでは定まらない。