語源項目

tura

つら・列・連

文証(訓字書き) 上代日本語 名詞 Frellesvig-Whitman転写

「連」の単語家族(上代日本語tura「列」・ture「ゆかり」、現代語の連れ・連れる・連なる・連ねる)

関係する語を引く つらなむつるなむトゥラ

単語家族と見出しの単位 9件

*tura「列・連」つら provisional

ONCOJの語彙でtura-に始まる語彙素は、列tura(l090405)・ゆかりture(l052208)・turaname(l031182a)・ turanuk-(l031185a)・turara(l090406)・turarak-(l031186a)・turatura(l004140)・つらしtura-(l090407)・ 弦tura(l050989)・蔓tura(l090352)である。ONCOJはどれも関係欄で互いに結ばず、turanameの第一要素だけを 弦tura(l050989)に結ぶ。 この単語家族の範囲はマーティン(1987)の派生(tura「列」・tura-nar-・ture[y]-を語幹tura-に結ぶ)に依る。 membersには列tura・ゆかりtureと、マーティンが語幹tura-から導く現代語を置く。マーティン自身が疑問符を付す語、 ONCOJが別の語に結ぶ語、出典が語幹との関係を述べない語はcandidate_membersに置く。 面tura(l080380、マーティンの2.3類)は同じ綴りの別語で、この単語家族に入れない。

つら 列 文証
言語
上代日本語
種別
語
品詞
名詞

ネットワークで見る

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
tura / noun / sequence
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l090405
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
?2.1, ?2.2a tura. 'row, line'. HH - x-x-x x-x-x. NS (129a) HL. Km x.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 556(Ch. 5, §5.9)
国立国語研究所 通時コーパスプロジェクト 2023-08-11 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
『日本語歴史コーパス』統合語彙表(バージョン2023.03) データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素列(ツラ、名詞)の行
于 拙 2026-08-20 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
日本語通時連語コーパス(DCCJ) データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素13724
つれ 連 文証
言語
上代日本語
種別
語
品詞
名詞

ネットワークで見る

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
ture / noun / connection, concern
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l052208
*tura-Ci 説内
言語
先上代日本語
種別
語源形
品詞
語幹

ネットワークで見る

つれ 連れ 文証
言語
日本語
種別
語
品詞
名詞

ネットワークで見る

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
2.1 ture < *ture[y] < *tura-Ci[-Ci]ᴀ. 'companion'. x - A-A-A x-A-x. 1700 Ōsaka HH.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 556(Ch. 5, §5.9)
つれる 連れる 文証
言語
日本語
種別
語
品詞
動詞

ネットワークで見る

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
A tureru < ture[y]- < *tura-Ci-. 'bring as company'. x - A-A-A x-A-x. Edo A.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 775(Ch. 6, §6.6)
つらなる 連なる 文証
言語
日本語
種別
語
品詞
動詞

ネットワークで見る

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
?A turanaru < *tura-na-ra-. 'stand in a row, be linked (strung out)'. A - B-B-A x-x-x. Km (S) A.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 775(Ch. 6, §6.6)
つらねる 連ねる 文証
言語
日本語
種別
語
品詞
動詞

ネットワークで見る

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
A turaneru < turane[y]- < *tura-na-Ci-. 'put in a row, link'. A - A/B-A-A x-x-x. Km (S) A. Edo A.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 775(Ch. 6, §6.6)
つれない 文証
言語
日本語
種別
語
品詞
形容詞

ネットワークで見る

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
B turena- (?< *tura₂.₃ na-adj B). 'pitiless, unkind'. x - B-B-A B-B-x. Sd thurinaa- B 'lonely'; Nk x (cf. huiTuruusen 'lonely'); Sr çirina- B. Attested in the Man'yō-shū.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 842(Ch. 7, §7.9)
つらぬく 貫く 文証
言語
日本語
種別
語
品詞
動詞

ネットワークで見る

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
?A turanuku < *tura-?A nuka-?A. 'pierce, penetrate; attain'. A - A/B-A-A x-x-x. Km (S) A. Edo A.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 775(Ch. 6, §6.6)

語形3件

文証形・編集形2件

tura つら 類別語彙の類 ?2.1 Martin, Samuel Elmo声点 HH 池田証寿ほか 文証

ONCOJの4例はすべて表語表記「列々」で、読みはONCOJの付与による。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l090405、万葉集1巻54・56番
ture つれ 類別語彙の類 2.1 Martin, Samuel Elmo 文証

仮名書例は都礼(万葉集3巻460・4巻717・6巻928・10巻2247・19巻4184・4198)、津礼(13巻3326)、津煎(13巻3341・3343)。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l052208、および各テキストのXML

4母音説1件

tura-Ci 4母音説 再建

マーティンの内的再建の表記による。Cは不特定の子音、-Ciは乙類イをもたらす形態素境界を示す。 乙類イを*a+*iの母音連続に求める点で4母音説の内的再建にあたる。

Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
ture < *ture[y] < *tura-Ci[-Ci]ᴀ
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 556
Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
tureru < ture[y]- < *tura-Ci-
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 775
語形の状態 文証 再建 編集 説内
主張の等級 定説 通説 提案 推測 疑義

再建体系1件

4母音説 日琉語族内部の比較 旧説

先上代日本語に*i・*u・*ə・*aの4母音を立て、上代日本語のイ乙・エ甲・エ乙・オ甲は母音連続に由来するとみる。琉球祖語の中段母音は条件による変化か散発的な低舌化として説明する。

母音:*i・*u・*ə・*a

日本語版Wikipedia執筆者 revision 110111359; 2026-06-30 未記入
先上代日本語に*i (> i1), *u, *ə(> o2), *aの四母音を再構し、これ以外の上代日本語の母音(i2, e1, e2, o1)は日琉祖語の母音連続に由来するとする説がかつて…提唱され、一般的であった
文献
日琉祖語 ウェブ資料/Wikipedia日本語版
立場
未記入(stanceの欄がありません)
箇所
「内的再構」節

語義3件

列。連なり。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l090405

ゆかり。関係。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l052208

連れ。同伴者。伴うこと。

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 556(ture 'companion')・p. 775(tureru 'bring as company')

諸説 3説/主張11件

日琉語族内部の比較1説

日琉諸語どうしの対応と内的再建によります

語幹tura-と*tura-Ci

主張5件

列tura・ゆかりture・連なる・連ねる・連れ・連れるを語幹tura-の下にまとめ、連れ・連れるにマーティンの *tura-Ci・*tura-Ci-、連なる・連ねるに*tura-na-ra-・*tura-na-Ci-を置く。

切れ目 提案

列tura・連なるtura-nar-・連ねるturane-・連れるture[y]-は語幹tura-を共有する。

マーティンが3語を名詞tura「row」の下に並べ、個々の項でも*tura-na-ra-・*tura-na-Ci-・*tura-Ci-と 同じ語幹を書く。語幹をそのまま示す語は列tura、-na-を介する語は連なる・連ねる、-Ciを介する語は *tura-Ci・ゆかりture・連れ・連れるである。ONCOJは3語を結ばず、turanameの第一要素を弦turaに結ぶ (c-turaname-oncoj)。

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
OJ tura '(joining in) a row', tura-nar- 'form a row' : ture[y]- 'be accompanied by, bring along' < *tura-gi-
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 65(Ch. 1, §48)
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
-naru < *-na-ra-. husanaru, kasanaru, katanaru, ?tonaru, turanaru.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 793(Ch. 6, §6.7)
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
-neru < -ne[y]- < *-na-Ci-. [husaneru], kasaneru, kataneru, tabaneru, taganeru, ?[tataneru], tukaneru, turaneru, waganeru, ?yudaneru.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 793(Ch. 6, §6.7)
再建 提案 共有: アイヌ語turaへの借用

同じ主張が複数の説に含まれます。等級、出典、根拠は共通します。

マーティンは名詞tureにture < *ture[y] < *tura-Ci[-Ci]、動詞tureruにture[y]- < *tura-Ci-を掲げ、 名詞tureを不定形由来の名詞(infinitive-derived noun)に数える。

内的再建による。語幹tura-に-Ci-を付ける読みは、p. 65がtare[y]- < *tara-gi-・mure[y]- < *mura-gi-と 並べる型(…a名詞と…ey-動詞)に依る。名詞tureの類は2.1、動詞tureruはA型で、著者は疑問符を付けない。

Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
2.1 ture < *ture[y] < *tura-Ci[-Ci]ᴀ. 'companion'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 556
Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
A tureru < ture[y]- < *tura-Ci-. 'bring as company'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 775
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
And the infinitive-derived nouns mane 'mimicry', suke 'support pillar', tomi 'riches', ture 'companion', wabi 'simple taste; apology'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 188(Ch. 4, §7.3)
同定 提案

上代語のture「ゆかり」は、マーティンがture < *tura-Ciと導く連れtureと同じ語である。

編集部の判断である。語形が一致し、「ゆかり・関係」と「連れ・同伴」はいずれも語幹tura-の「連なる」に通じる。 ONCOJはtureを独立の語彙素に立てて語源を述べず、マーティンのture「companion」の項は上代語の用例に触れない。 万葉集の12例はすべてture (mo) naki/nakuの形で、「同伴者」の意はそこに現れない。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
ture / noun / connection, concern
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l052208
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
2.1 ture < *ture[y] < *tura-Ci[-Ci]ᴀ. 'companion'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 556
派生 提案

マーティンは連なるturanaruに*tura-na-ra-を掲げ、-naru < *-na-ra-の動詞形成列に数える。

内的再建による。語頭の?Aは型の推定にかかる印で、切り方には疑問符がない。

Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
?A turanaru < *tura-na-ra-. 'stand in a row, be linked (strung out)'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 775
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
-naru < *-na-ra-. husanaru, kasanaru, katanaru, ?tonaru, turanaru.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 793
派生 提案

マーティンは連ねるturaneruにturane[y]- < *tura-na-Ci-を掲げ、-neru < *-na-Ci-の動詞形成列に数える。

内的再建による。連なると連ねるは語幹tura-na-を共有し、-ra-と-Ci-で自他が分かれる。 観智院本名義抄は字「連」に和訓ツラヌ(HHL)を持ち、下二段の終止形にあたる。

Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
A turaneru < turane[y]- < *tura-na-Ci-. 'put in a row, link'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 775
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
-neru < -ne[y]- < *-na-Ci-. […] turaneru […]
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 793
池田証寿ほか 2025 記述
連 ツラヌ(HHL、ラ-ナル)
文献
KRM: Database of the Kanchi-in Manuscript of the Ruiju Myōgishō データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
krm_wakun.tsv行2897(wakun_id F01362_02、K01056730)

日琉語族の外部との比較1説

日琉語族を超える語族設定を伴います。設定そのものが争われます

アイヌ語turaへの借用

主張2件

アイヌ語tura「〜を連れる」を、*tura-Ciの縮約前の形からの借用とみる。提案は2024-12-20のDiscordの 一言(dc-moto-tura-20241220)に遡り、借用語表がそれを不確実な1行として載せる。

再建 提案 共有: 語幹tura-と*tura-Ci

同じ主張が複数の説に含まれます。等級、出典、根拠は共通します。

マーティンは名詞tureにture < *ture[y] < *tura-Ci[-Ci]、動詞tureruにture[y]- < *tura-Ci-を掲げ、 名詞tureを不定形由来の名詞(infinitive-derived noun)に数える。

内的再建による。語幹tura-に-Ci-を付ける読みは、p. 65がtare[y]- < *tara-gi-・mure[y]- < *mura-gi-と 並べる型(…a名詞と…ey-動詞)に依る。名詞tureの類は2.1、動詞tureruはA型で、著者は疑問符を付けない。

Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
2.1 ture < *ture[y] < *tura-Ci[-Ci]ᴀ. 'companion'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 556
Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
A tureru < ture[y]- < *tura-Ci-. 'bring as company'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 775
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
And the infinitive-derived nouns mane 'mimicry', suke 'support pillar', tomi 'riches', ture 'companion', wabi 'simple taste; apology'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 188(Ch. 4, §7.3)
借用 推測

アイヌ語tura「〜を連れる」は、先上代日本語の*tura(C)iのような形からの借用である。

提案は2024-12-20のDiscordの一言に遡り、祖アイヌ語*turaCの想定から*tura(C)iの形を推し量るだけで、 借用元の言語も日本語の語形も挙げない。借用語表はこれを不確実フラグつきで載せる。借用語表の*tura(C)iを マーティンの*tura-Ciに当て、日本語の連れに結ぶのは編集部の判断である。アイヌ語turaは末尾の-Ciを持たないため、借用元は-Ciの縮約前の形と想定されるが、 その時代を論じた記述はない。語義(〜を連れる・…と一緒に)は連れるtureruと重なる。アイヌ語側の対応がturaで 止まり、tura-nar-・turane-にあたる派生を持たない点は未検討。

Ainu Morpheme Database contributors snapshot 2026-08-11; license checked 2026-08-19 記述
lemma: tura / wordclass: v / uncertain: true / note.ja: *tura(C)i のような形からの借用とする説
文献
Ainu Morpheme Database データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
loanwords.json、lemma turaの行(リポジトリ版295ed93)
Ainu Morpheme Database contributors 2026; acquired 2026-08-20 記述
tura ? ~を連れる adv *tura(C)i のような形からの借用とする説
文献
Loanwords データセット/Ainu Morpheme Database
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
借用語表のtura行(2026-09-03参照)

段の記載なし1説

比較の段を記していない説

阪倉の動詞ツル由来説

主張1件

名詞ツラの成り立ちを四段動詞に求めるか語幹tura-に求めるかの差 語幹tura-と*tura-Ciに対して

名詞ツラ(列)を動詞ツル(連)の語基にa母音を添えて作られた名詞とみる。 ツカ・ヲサ・ナハ・タマ・アカ・クマ・ハラと同じ型に並ぶ。

派生 提案

阪倉は、ツラ(列)を動詞ツル(連)に対する名詞とし、つらなっているもの、そのかたちの意とみる。

動詞と名詞が語末の母音だけで対立する語を7組並べた一覧の1行にあたり、阪倉は一覧全体に「考えられよう」と 留保を置く。前提となる動詞ツル(連)は上代の韻文に文証が無く、ONCOJが立てるtur-は釣るの語彙素 l031187a(fish, angle、34例)だけである。マーティンも同じ語族を立てるが、語幹tura-の側から tura-nar-・turane-・ture[y]-を導き、四段動詞ツルを立てない(c-tura-root)。 名詞turaの側はONCOJに4例あり、いずれも万葉集1巻54・56番の「列々椿」で訓字書きにあたる。

阪倉篤義 2011 提唱
ツラ(列)ツル(連) つらなっているもの、そのかたちの意。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第一部3「語源の考え方」の節「情態言の単独用法」、ダンプ頁110

その他の主張4件

語形成 提案

ONCOJはturaname「並べ連ねる」を弦tura(l050989)+name(l031305a)の名詞+動詞複合とし、接尾辞-e-(f000052)を付ける。

ONCOJの関係欄による。第一要素を弦turaに結ぶ点は、マーティンがturaneruを列tura(*tura-na-Ci-)から導く 読みと合わない。1例しかない語で、どちらの読みも用例からは決まらない。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
compound NV: tura (l050989) + name (l031305a); derivation: -e- (f000052)
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l031182aの関係欄
語形成 推測

マーティンはつれないturena-に、疑問符つきで*tura(2.3類)+na-「無い」を掲げる。

著者自身が疑問符を付す。第一要素に添えた下付きの2.3は、同じ書のp. 556が面tura「cheeks; face」に与える類で、 列turaは?2.1・?2.2aである。したがってマーティンの読みはつれないを面turaに結ぶ。

Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
B turena- (?< *tura₂.₃ na-adj B). 'pitiless, unkind'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 842
Martin, Samuel Elmo 1987 記述
2.3 tura. 'cheeks; face'. LL/HL - 2-2-B B-B-B.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p. 556
語形成 提案

マーティンは貫くturanukuに*tura-+nuka-を掲げ、両要素のアクセント類に疑問符を付す。

切り方そのものに疑問符はなく、語頭の?Aと各要素の?Aはアクセント類の推定にかかる。第一要素turaが 列turaと同じ語かは項に書かれていない。上代語にはturanuk-(l031185a、万葉集8巻1502番)があり、 観智院本名義抄は字「貫」に和訓ツラヌク(HH__)を持つ。

Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
?A turanuku < *tura-?A nuka-?A. 'pierce, penetrate; attain'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 775
National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
turanuk / verb / QD / go through
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l031185a
池田証寿ほか 2025 記述
貫 ツラヌク(HH__)
文献
KRM: Database of the Kanchi-in Manuscript of the Ruiju Myōgishō データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
krm_wakun.tsv行8849(wakun_id F06525_02、K03021240)
派生 推測

語幹tura-に-i(<*-Ci)を付けた*tura-iを連れ・連れる・つれないの共通の元とし、 連なる・連ねるを同じ語幹の-nar-・-ne-派生とする。

編集部の仮説である。連れ・連れる・連なる・連ねるの切り方はマーティンの*tura-Ci・*tura-Ci-・*tura-na-ra-・ *tura-na-Ci-と一致する。つれないをtura-i+na-siと切る点はマーティンの*tura(2.3類)+na-(c-turena-martin)と 異なり、この切り方を述べた文献は手元にない。

単語家族の成員18件

語根拠
つら【列】(tura)ONCOJ語彙素l090405。4例、いずれも万葉集1巻54・56番の「列々椿」で表語表記。
つれ【連】(ture)ONCOJ語彙素l052208。12例、うち9例が仮名書き。ture (mo) naki/nakuの型に限られる。
つれ【連れ】(ture)マーティンp. 556。ture < *ture[y] < *tura-Ci[-Ci]、2.1類。
つれる【連れる】(tureru)マーティンp. 775。tureru < ture[y]- < *tura-Ci-、A型。
つらなる【連なる】(turanaru)マーティンp. 775・793。turanaru < *tura-na-ra-。
つらねる【連ねる】(turaneru)マーティンp. 775・793。turaneru < turane[y]- < *tura-na-Ci-。観智院本名義抄は字「連」に和訓ツラヌ(HHL)を持つ(krm_wakun.tsv行2897)。
つれない(turena-) 候補マーティンp. 842はturena- ?< *tura₂.₃ na-とし、下付きの2.3は面turaの類にあたる(c-turena-martin)。 列turaに結ぶ読みは編集部の仮説(c-tura-family-editorial)による。万葉集の文証はONCOJではture+nakiに分かれる。
つらなむ【連並】(turaname) 候補ONCOJ語彙素l031182a。1例、万葉集19巻4187番、仮名書き。ONCOJは第一要素を弦turaに結ぶ(c-turaname-oncoj)。 語義「並べ連ねる」は列turaに通じるが、列turaに結ぶ出典はない。
つらぬく【貫く】(turanuku) 候補マーティンp. 775は?A turanuku < *tura- nuka-とし、第一要素の類に疑問符を付す(c-turanuku-martin)。 上代語turanuk-(l031185a、万葉集8巻1502番)が先行し、観智院本名義抄は字「貫」に和訓ツラヌク(HH__、krm_wakun.tsv行8849)を持つ。
つらら(turara) 候補ONCOJ語彙素l090406。1例、万葉集15巻3627番「都良良爾宇家里」、語義欄はsequential。関係欄を持たない。
つらつら(turatura) 候補ONCOJ語彙素l004140。3例(万葉集1巻54・56番、20巻4481番)、いずれも仮名書き。語義欄はheartfelt。 マーティンp. 103は畳語の節でtura-tura (ni)「intently, thoroughly」を挙げ、万葉集54・56番を指す。畳語の元の語は書かない。
つらし(tura-) 候補ONCOJ語彙素l090407。2例(万葉集5巻897番「宇計久都良計久」、19巻4214番)。マーティンp. 842はtura-「tough」を A型に置き、語源を書かない。つれないとの関係はc-turena-martinの読みに依る。
つら・つる【弦】(tura・turu) 候補ONCOJ語彙素l050989。5例、turu「弦」の被覆形にあたるturaがある。ONCOJはturanameの第一要素をここに結ぶ (c-turaname-oncoj)。マーティンp. 775はturu「hang; suspend; fish for; entice」に*tura-を掲げる。
つら【蔓】(tura) 候補ONCOJ語彙素l090352。語彙素の用例欄は54件を数えるが、うち51件は同じ句の草枕kusa makuraに付いた注釈で、 蔓の語形そのものは伊波為都良(万葉集14巻3378・3416番)と多波美豆良(14巻3501番)の3例である。 マーティンp. 556は「tura 'vine': see turu. Cf. tuta.」と参照に留める。
つね【常】(tune) 候補マーティンp. 556は疑問符つきで*tu[ra]ne < *tura-na-Ci[-Ci]を掲げ、類の不一致(register incongruent)を注し、*tuna-Ci「rope」の可能性も併記する。
つなぐ【繋ぐ】(tunagu) 候補マーティンp. 775は疑問符つきでtunagu ?< *tu[ra]-na-n[a]-ka-、tunagaru ?< *tu[ra]-na-n[a]-ka-ra-、 tunageru ?< *tu[ra]-na-n[a]-ka-Ci-を掲げ、首里のçirug-(< *turug- < *tura-n[a]-ka-)を対応形に挙げる。
おとずれる【訪れる】(otozureru) 候補マーティンp. 743はotozureru < otodure[y]- < *oto -n- tura-Ci-「make a sound, speak; visit; inquire by letter」を掲げる。
もつれる(motureru) 候補マーティンp. 728はmotureru < moture[y]- < *motura-Ci-とし、疑問符つきで*mot[a-Ci] tura-Ci-の複合を併記する。

関連する単位5件

つらなむ 連並 文証

並べ連ねる。

ONCOJ語彙素l031182a。1例、万葉集19巻4187番「小船都良奈米」。ONCOJは名詞+動詞の複合とし、 第一要素を弦tura(l050989)、第二要素をname「並べる」(l031305a)、接尾辞を-e-(f000052)とする。

ネットワークで見る

つらぬく 貫 文証

貫く。通す。

ONCOJ語彙素l031185a。1例、万葉集8巻1502番「珠爾社貫」で表語表記。ONCOJは関係欄を持たない。

ネットワークで見る

つる 弦 文証

弦。

ONCOJ語彙素l050989。5例、語形欄はturu・turaを並べる(都良絃、2巻99番;都良波可馬可毛、14巻3437番)。

ネットワークで見る

なむ 並 文証

並べる。

ネットワークで見る

トゥラ 文証

〜を連れる。…と一緒に。

品詞欄は資料の層で分かれる。語彙素tura.vtの項はvt、借用語の種データ(リポジトリ版295ed93)はv、 公開の借用語表はadvを示す。

語彙素tura.vtの項は千歳方言を基礎方言とし、中川1995・田村1996・萱野1996・金沢1898・冨田2021を出典に挙げる。 辞典そのものでの確認は未了。

ネットワークで見る

用例0件

用例はありません。

外部データベース1件

アイヌ語形態素データベース

語彙素tura.vt「〜を連れる」の項。借用語表(/loans)にも同じ語の行がある。

https://mdb.aynu.org/lexemes/tura.vt