語源項目

yasasi

やさし・優

文証 上代日本語 形容詞(シク活用) Frellesvig-Whitman転写

やさし(上代日本語yasasi)

資料横断で引く やさしやす

対象の単位 2件

やさし 優 文証
言語
上代日本語
種別
語
品詞
形容詞(シク活用)

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National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
yasasi / adjective / be ashamed
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l007215
やす 瘦 文証
言語
上代日本語
種別
語
品詞
動詞(下二段)

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National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
yase / verb / get thin
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l031799a

語形0件

語形情報はありません。

語形の状態 文証 再建 編集 説内
主張の等級 定説 通説 提案 推測 疑義

語義1件

相手や世間に気兼ねで身のちぢむ思いがする。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
be ashamed
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l007215の語義欄

諸説 1説/主張6件

瘦すからの形成説

主張2件

やさしを動詞やす(瘦す)の語基にaと接尾語しが付いた形容詞とみ、気兼ねで身の細る思いを原義に置く。 『大言海』以来の説明を、阪倉は情意動詞から作られるシク活用形容詞の型の中に位置づけ、優美・節度・平易への 語義の広がりを原義からの展開として説く。

派生 通説

阪倉はやさしを動詞やす(瘦す)から作られた形容詞とみる(yasu>yasa+si)。気兼ねで身の細る思いをする状態が原義で、『日本霊異記』下巻第三八縁の「恥かしきかな、やさしきかな」でははづかしと重ねて用いられる。

瘦すとの関係は『大言海』にあり、大野晋『日本語の年輪』と原田芳起『平安時代文学語彙の研究』にも 説かれると阪倉が補注30で記す。阪倉はこれを情意動詞の語基+a+しの型(c-siku-pattern)の一例に置く。 ONCOJの2例はいずれも「恥ずかしい」の義にあたる。

阪倉篤義 2011 提唱
これらと同様に、「やさし」という形容詞も、本来は、「やす」(瘦せる)という動詞との関係が考えられる語であったのである
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部2「「やさしさ」の両面」の節「瘦す」「やさし」、ダンプ頁174
阪倉篤義 2011 提唱
そういう「やす」(瘦せる)べき状態にあることが、「やさし」で、つまり、相手や世間に対して、どうも気兼ねで身のちぢむ思いのするさまを言ったのである。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部2「「やさしさ」の両面」の節「瘦す」「やさし」、ダンプ頁175
阪倉篤義 2011 伝聞
ヤサシを、「瘦す」との関連において考えることは、すでに『大言海』に見え、その後、大野晋『日本語の年輪』、原田芳起『平安時代文学語彙の研究』にも説かれている。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
伝聞(他の説として伝えます)
箇所
補注30、ダンプ頁383
語義変化 提案

阪倉はやさしの意義が、自省的な気兼ね(上代・『日本霊異記』)から、平安貴族社会での優美(源俊頼歌)、こまやかな心遣い(『大鏡』)、けなげさ(『平家物語』)、節度と教養(『日葡辞書』)へ広がり、無抵抗な素直さから「易し」義も派生したとみる。

用例の並べ方と方向づけは阪倉の解釈で、「易し」義を語自身の派生とみる点も阪倉の判断である。

阪倉篤義 2011 提唱
こうなると、「やさし」という語は、もはや感覚的な優美さを言うようになっている。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部2「「やさしさ」の両面」の節「こまやかな心遣い=「やさし」」、ダンプ頁178
阪倉篤義 2011 提唱
「やさしい人」というのは、教養ある人であり、文化人なのである。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部2「「やさしさ」の両面」の節「文化そのもの」、ダンプ頁184
阪倉篤義 2011 提唱
「やさし」という語自体に、この「易し」の意味を派生する面が、もとからあったようである。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部2「「やさしさ」の両面」の節「文化そのもの」、ダンプ頁186

収録されている語源説は1件です。

その他の主張4件

word_formation 提案

阪倉は、情意活動を意味する動詞のア段語尾の形にしが接してシク活用の形容詞が作られる型(asamu>asama+si、isamu>isama+si)を立て、「その情意活動がなされるべき状態」を表すとする。作用動詞から作られるク活用の型(aku>aka+si、kuru>kura+si)と区別する。

ク活用とシク活用の別を語基の意味(作用と情意)に帰す説明で、阪倉自身も子めかし・名立たし・輝かしなど 型に合わない語を挙げる。尹2025の母音脱落による説明(research/phenomena/old-japanese-adjective-vowel-loss.yaml) とは、同じ表層差を別の層で説く。

阪倉篤義 2011 提唱
その動詞は、先の一類と違って、「厭ふ」とか「羨む」とか「腹立つ」とかいうような情意活動を意味するものが多い。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部2「「やさしさ」の両面」の節「情意を表わす形容詞」、ダンプ頁171
派生 通説

阪倉ははづかしを動詞はづ(恥じる)に関係づけ、相手や世間にひけめを感じるべき状態を言うとする。第三者について「はづかしき人」と言えば、こちらが気がひけるほど立派な人を意味する。

はづとの関係は辞書類に共通する説明で、阪倉はやさしと同義に重ねられる例を根拠に添える。接尾部かしの分析は述べない。

阪倉篤義 2011 記述
形容詞「はづかし」は、言うまでもなく、「はづ」(恥じる)という動詞と関係づけうる。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
第二部2「「やさしさ」の両面」の節「瘦す」「やさし」、ダンプ頁176
派生 提案

阪倉はつつましを動詞つつむに結びつけ(tutumu>tutuma+si)、つつむは包むと同語で他を憚って内に籠めることを言うとする。語基つつはつつしむと共通し、名詞形つと(家づと)はその母音交替形とみる(tutu〜tuto)。

包むと慎むを同語とみる点、つとを母音交替形とみる点は阪倉の分析で、DCCJは包むと慎むを別語彙素に立てる。

阪倉篤義 2011 提唱
この形容詞は、先に述べたのと同じ関係で、動詞「つつむ」に結びつけられる(tutumu>tutuma+si)。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部2「「やさしさ」の両面」の節「瘦す」「やさし」、ダンプ頁176
語形成 推測

阪倉ははにかむの第一要素はを歯とみ、『新撰字鏡』でハニカムと訓む5字が歯の不正・不斉・重生を意味することから、本来は歯の不揃いな様子、転じて歯をむき出して威嚇する表情を言った語とする。にかむの意味は未詳とする。

阪倉は「らしい」「ようである」と留保して述べ、第二要素の意味を未詳とする。字書の訓の意味からの推定である。

阪倉篤義 2011 提唱
もともとハニカムのハは、「歯」で、ニカムの意味はよくわからないが、ハニカムというのは、歯の不揃いな様子を言った語らしい。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部2「「やさしさ」の両面」の節「「はにかみ」は警戒の姿勢」、ダンプ頁165

関連する単位5件

はづかし 恥 文証

気がひける。相手が立派で気がひけるほどである。

DCCJは「恥ずかしい」を語彙素1562に立て、511例を数える。ONCOJの語彙表にもpadukasi(l007139b)が立つが、用例索引との対応は確かめていない。

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はづ 恥 文証

恥じる。ひけめを感じる。

DCCJは「恥じる」を語彙素355に立て、117例を数える。

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つつまし 慎 文証

遠慮される。気がひける。

DCCJは「慎ましい」を語彙素4310に立て、33例を数える。

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つつむ 包・慎 文証

包む。憚って内に籠める。

DCCJは「包む」を語彙素3962に立て、119例を数える。「慎む」(語彙素441、94例)は別語彙素で、阪倉は両者を同語とみる。

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はにかむ 文証

歯を見せて威嚇する。歯が不揃いである。

『日本霊異記』上巻第二縁の訓釈と『新撰字鏡』(天治本)の5字の訓に現れる。DCCJの語彙素との照合は済んでいない。

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用例0件

用例はありません。

外部データベース1件