語源項目

*pij-

冷・氷

再建 日琉祖語 語根

語根*pij-(氷・冷える・冷やす)の単語家族

資料横断で引く ひひゆひえるひやす

単語家族と見出しの単位 12件

*pij-「冷・氷」ひ・ひゆ・ひやす source

尹2026は氷・冷える・冷やすに共通する語根として*pij-を立てる。 文証形には上代日本語pi「氷」、中古日本語ひゆ、現代日本語ひえる・ひやすを置く。 マーティン1987とセリック2022は*pi-を語根とし、ホイットマン2012は琉球祖語と日本語から*peje-を再建する。 阪倉2011はひやと冷ゆの関係、ひやに接尾語スを加えるひやすの分析を示す。 語基ひやの単位はfiya-cold項を参照する。*pij-単語家族への配置はこの関係を介した編纂上の判断である。 EDAL 2003の*pijä-・*piはマーティン1987のp.405を引く受容例である。

ひ 氷 文証
言語
上代日本語
種別
語
品詞
名詞

ネットワークで見る

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
pi / noun / ice
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l052513
*pi 説内
言語
日琉祖語
種別
語根
品詞
語根

ネットワークで見る

*pij 説内
言語
日琉祖語
種別
語根
品詞
語根

ネットワークで見る

*pije 説内
言語
日琉祖語
種別
語
品詞
動詞語幹

ネットワークで見る

*pijas 説内
言語
日琉祖語
種別
語
品詞
動詞語幹

ネットワークで見る

*piji 説内
言語
日琉祖語
種別
語
品詞
名詞

ネットワークで見る

*peje 説内
言語
日琉祖語
種別
語
品詞
動詞語幹

ネットワークで見る

*pejesi 説内
言語
琉球祖語
種別
語
品詞
形容詞語幹

ネットワークで見る

*pijä 説内
言語
日琉祖語
種別
語
品詞
動詞語幹

ネットワークで見る

ひゆ 冷ゆ 文証
言語
中古日本語
種別
語
品詞
動詞(ヤ行下二段)

ネットワークで見る

于 拙 2026-08-20 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
日本語通時連語コーパス(DCCJ) データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素7631
大西拓一郎(編) 2002 記述
ひえる ひゆ 冷 下二 や
文献
方言文法調査ガイドブック 報告書/科学研究費基盤研究研究成果報告書
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p.184「動詞語彙」146番
于 拙 2026-08-20 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
日本語通時連語コーパス(DCCJ) データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素7631
国立国語研究所 通時コーパスプロジェクト 2023-08-11 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
『日本語歴史コーパス』統合語彙表(バージョン2023.03) データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素冷える(ヒエル、動詞-一般)の行
精選版日本国語大辞典 2006 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
精選版日本国語大辞典 辞典
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
ひ・える【冷】の項の語義①の用例
ひえる 冷える 文証
言語
日本語
種別
語
品詞
動詞(下一段)

ネットワークで見る

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
第5章§5.9(p. 405)
大西拓一郎(編) 2002 記述
文献
方言文法調査ガイドブック 報告書/科学研究費基盤研究研究成果報告書
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p.184「動詞語彙」146番
ひやす 冷やす 文証
言語
日本語
種別
語
品詞
動詞(五段)

ネットワークで見る

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
第5章§5.9(p. 405)

語形0件

語形情報はありません。

語形の状態 文証 再建 編集 説内
主張の等級 定説 通説 提案 推測 疑義

語義1件

氷。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
ice
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l052513の語義1

諸説 6説/主張15件

日琉語族内部の比較5説

日琉諸語どうしの対応と内的再建によります

氷のpi

主張2件

マーティンは*piを再建し、島袋2007の付録はこの語を扱わない。 日のhiと祖形の綴りを共有し、アクセント類だけが分ける。

再建 提案

マーティンは氷のhiをfyi経由で*piに遡らせ、アクセント類を1.3aとする。 語義は「ice; hail」とする。

疑問符を伴わない1段の再建。日のhiと同じ祖形の綴りで、アクセント類だけが分ける (research/entries/pi-sun.yaml)。 マーティンは京都の資料が人為的ではないかと自ら問い、hisameを比較対象に挙げる。 この語は島袋2007の付録に無い。

Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
1.3a hi < fyi < *pi. 'ice; hail'. L - x-0-x x-x-x. Km x. K: Hn LL. Is Kt artificial? But cf. hisame. Verb stems hi[y]e[y]- (< *pi -da-Ci-) and hiyas- (< *pi -da-sa-) are B. Cf. Sr hwii- B, Yn hii- C 'cold'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第5章§5.9(p. 405)
comparison_set 提案

マーティンは氷の項で、動詞語幹hi[y]e[y]-を*pi -da-Ci-に、hiyas-を*pi -da-sa-に遡らせ、 いずれも氷の*piを前部に置く。

動詞語幹の分析を名詞の項の中に置く書き方にあたる。 2つの語幹はいずれもアクセント類Bで、氷の1.3aとは体系が異なる。 首里のhwii-と与那国のhii-「寒い」を比較対象に挙げるにとどめ、 名詞と形容詞の関係は述べない。

Martin, Samuel Elmo 1987 記述
Verb stems hi[y]e[y]- (< *pi -da-Ci-) and hiyas- (< *pi -da-sa-) are B. Cf. Sr hwii- B, Yn hii- C 'cold'.
文献
The Japanese Language through Time 書籍
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
第5章§5.9(p. 405)

セリック2022の*pi₁語族

主張1件

低起式の*pi₁「冷たい/氷」を語根とし、氷・寒い・冷える・冷えを同じ単語家族に置く。 動詞は*pi₁-j-から*pi₁-j-a-s-と日本語*pi₁-j-a-i-へ派生するとする。

comparison_set 提案

セリックは低起式の*pi₁「冷たい/氷」を語根に置き、日本語pi₁「氷」、九州pi₁-j-a-「寒い」、 pi₁-j-a-i-「冷える」、琉球pi₁-j-a-i-「寒い」、琉球pi₁+kor-i「冷え」を一群にする。

大会予稿の作業仮説である。語形・アクセント・意味の一致を用いる分析基準は示されるが、 各語の全方言資料と音対応は6ページの予稿に収録されていない。

セリック・ケナン 2022 提唱
*ᴮpi₁「冷たい/氷」:Jp ᴮpi₁「氷」、K ᴮpi₁-j-a-「寒い」、ᴮpi₁-j-a-i-「冷える」、Rk ᴮpi₁-j-a-i-「寒い」、Rk ᴮpi₁+kor-i「冷え」。
文献
(先)日琉祖語の語形成に関する試論 論文/日本言語学会第164回大会予稿集
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p. 389の語群一覧、p. 390表1「動詞の派生過程」

ホイットマン2012の*peje-「冷える」

主張1件

琉球祖語*pejesi-「冷たい」と日本語piye-「冷える」から日琉祖語*peje-を再建する。 氷の名詞はこの比較表に含まれない。

再建 提案

ホイットマンは琉球祖語*pejesi-「冷たい」と日本語piye-「冷える」を対応させ、 日琉祖語*peje-「冷える」を再建する。

琉球祖語の子音間にある*eと日本語の非語末位置のiを規則的な母音対応として扱う再建である。 氷の名詞はこの比較表に含まれず、尹の*pij-分析を直接支持する資料にはあたらない。

Whitman, John 2012 提唱
*pejesi- ‘cold’ piye- (MJ) ‘get cold’ *peje- ‘get cold’
文献
The relationship between Japanese and Korean 書籍所収論文/The Languages of Japan and Korea
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p.27、表2.2

阪倉2011のひや・冷ゆ・ひやす

主張3件

語基ひやと動詞「冷ゆ」を関連づけ、ひやに接尾語スを加えた動詞ひやすを示す。 動詞と語基の派生方向は確定しない。

同源候補 提案

阪倉は冷たいさまを表す語基ひやを動詞「冷ゆ」に関連づける。

著者は「関連がつけられるだろう」と可能性を示す。動詞と語基のどちらが先かは直後で開いたままにする。

阪倉篤義 2011 提唱
「ひや」は「冷ゆ」と
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第3章「他の語との関係の探究」、p.100(ダンプ頁100)
語形成 提案

阪倉は語基ひやが接尾語スを取り、動詞ひやすの語幹になると分析する。

情態言と動詞を母音交替と接尾語によって組織する阪倉の語構成論の一例である。

阪倉篤義 2011 提唱
チラ・タラ・カラ・ヒヤ・コガのように、接尾語スをとって動詞チラス・タラス・カラス・ヒヤス・コガスの語幹となり
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第一部3「語源の考え方」の節「情態言」、ダンプ頁104
継承・形変化 通説 共有: 尹2026の*pij-語根説

同じ主張が複数の説に含まれます。等級、出典、根拠は共通します。

大西編の動詞語彙表は古典語形ひゆ【冷】を現代語形ひえるに対応させる。

現代語形と古典語形の対照表に明記された歴史的対応である。

大西拓一郎(編) 2002 記述
ひえる ひゆ 冷 下二 や
文献
方言文法調査ガイドブック 報告書/科学研究費基盤研究研究成果報告書
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p.184「動詞語彙」146番

尹2026の*pij-語根説

主張8件

再分析 セリック2022の*pi₁語族に対して

*pij-を共通語根とし、*pij-e-「冷える」、*pij-as-「冷やす」、*pij-i「氷」を派生させる。 氷は*pij-i>*piji>pîの音変化で説明する。

再建 提案

尹は氷・冷える・冷やすに共通する語根として*pij-を立てる。

個別の*pij-分析は2026年のポスター1点により公表された提案である。 尹2025は母音脱落の一般的枠組みを与えるが、この語族を扱わない。

尹熙洙 2026-08-24 提唱
*pij-が一つの語根となり、形態素の数が一つ減って、*-j-の意味を考える必要もなくなる
文献
日琉祖語における語形成と音変化 ポスター発表/日本言語学会夏期講座2026ポスターセッション
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
添付ポスター「派生接尾辞からの脱却」第2項
語形成 提案

尹は冷えるの語幹を*pij-e-と分析する。

*pij-語根説の一部をなすポスター発表の提案である。

尹熙洙 2026-08-24 提唱
文献
日琉祖語における語形成と音変化 ポスター発表/日本言語学会夏期講座2026ポスターセッション
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
添付ポスター「派生接尾辞からの脱却」
継承・形変化 提案

尹の*pij-e-「冷える」と、大西編の古典語形ひゆから現代語形ひえるへの対応を組み合わせ、 *pij-e-とひえるの間に文証形ひゆを置く。

グラフ上の配置は2出典を組み合わせた編纂上の判断である。 尹は*pij-e-を冷えるに対応させ、大西編はひゆとひえるを対応させるが、 1出典だけで*pij-e->ひゆ>ひえるの全段階を明記する資料は確認できない。

尹熙洙 2026-08-24 提唱
文献
日琉祖語における語形成と音変化 ポスター発表/日本言語学会夏期講座2026ポスターセッション
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
添付ポスター「派生接尾辞からの脱却」
大西拓一郎(編) 2002 支持
ひえる ひゆ 冷 下二 や
文献
方言文法調査ガイドブック 報告書/科学研究費基盤研究研究成果報告書
立場
支持(別の説を支持します)
箇所
p.184「動詞語彙」146番
継承・形変化 通説 共有: 阪倉2011のひや・冷ゆ・ひやす

同じ主張が複数の説に含まれます。等級、出典、根拠は共通します。

大西編の動詞語彙表は古典語形ひゆ【冷】を現代語形ひえるに対応させる。

現代語形と古典語形の対照表に明記された歴史的対応である。

大西拓一郎(編) 2002 記述
ひえる ひゆ 冷 下二 や
文献
方言文法調査ガイドブック 報告書/科学研究費基盤研究研究成果報告書
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
p.184「動詞語彙」146番
語形成 提案

尹は冷やすの語幹を*pij-as-と分析する。

*pij-語根説の一部をなすポスター発表の提案である。

尹熙洙 2026-08-24 提唱
文献
日琉祖語における語形成と音変化 ポスター発表/日本言語学会夏期講座2026ポスターセッション
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
添付ポスター「派生接尾辞からの脱却」
継承・形変化 提案

尹は*pij-as-を冷やすの祖形として示す。

*pij-語根説の一部をなすポスター発表の提案である。

尹熙洙 2026-08-24 提唱
文献
日琉祖語における語形成と音変化 ポスター発表/日本言語学会夏期講座2026ポスターセッション
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
添付ポスター「派生接尾辞からの脱却」
語形成 提案

尹は氷の祖形を語根*pij-に*-iを加えた*pij-iと分析する。

*pij-語根説の一部をなすポスター発表の提案である。

尹熙洙 2026-08-24 提唱
文献
日琉祖語における語形成と音変化 ポスター発表/日本言語学会夏期講座2026ポスターセッション
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
添付ポスター「派生接尾辞からの脱却」
音韻変化 提案

尹は*pij-iから*pijiを経て上代日本語pî「氷」に至る変化を想定する。

ポスターが個別変化と一般形を提案する。尹2025はC₁VC₂>C₁C₂>C₂型の母音脱落を論じるため 音変化の枠組みを支えるが、*pijiの例は同論文に現れない。

尹熙洙 2026-08-24 提唱
*CijVi > *Ciji > Cî
文献
日琉祖語における語形成と音変化 ポスター発表/日本言語学会夏期講座2026ポスターセッション
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
添付ポスター「派生接尾辞からの脱却」第2項
尹熙洙 2025-07 支持
C₁VC₂ > C₁C₂ > C₂
文献
日琉祖語の子音連結 論文/国立国語研究所論集29
立場
支持(別の説を支持します)
箇所
§2.1「母音脱落の定義」(p. 190)

日琉語族の外部との比較1説

日琉語族を超える語族設定を伴います。設定そのものが争われます

EDAL 2003の*pijä-・*pi

主張1件

日本祖語*pijä-「凍る」と*pi「氷・雹」を同じ外部比較項に置く。 日本語部分はマーティン1987のp.405に依存し、アルタイ語族説を前提とする。

comparison_set 疑義

EDALは日本祖語*pijä-「凍る」と*pi「氷・雹」を同じ*biogi項に置き、 上代日本語pji「氷」と後代のfija-・hie-「冷える」を反映形に挙げる。

日本語部分はJLTT 405、すなわちマーティン1987の同じ頁を明記しており、独立した裏付けではない。 外部比較を置くアルタイ語族説は主流の比較言語学に認められていない。

Starostin, Sergei 2003 提唱
PJpn. *pijä-, *pi 1 to freeze 2 ice, hail
文献
Etymological Dictionary of the Altaic Languages 書籍/Handbook of Oriental Studies, Section 8, volume 8
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
p.348、*biogi項

単語家族の成員13件

語根拠
ひ
*pi
*pij
*pije
*pijas
*piji
*peje
*pejesi
*pijä
ひゆ
ひえる
ひやす
jpn-any/fiya-cold

用例0件

用例はありません。

外部データベース2件

日 語源由来辞典

異表記: ひ

外部項目を開く ↗

氷 語源由来辞典

異表記: こおり

外部項目を開く ↗