阪倉のをとこ・をみな対成立説
主張10件
意味史上の展開 阪倉のをとこ・をとめ構成説に対して
元来区別されたをとめ・をみなの意味領域が接近し、をとこ・をみなの対が成立したとする。
『古事記』歌謡の共指例と万葉集二〇・四三一七の表音例を資料に挙げ、をとこ・おんなが
それぞれ男性・女性一般を指すまでの適用範囲の拡大を説く。
別語彙素 ●○○ 提案
阪倉は、処女を指すをとめと少女を指すをみなを元来は別の語とみる。
両語がONCOJで別語彙素に立つことは区別を支持する。「未通女」表記から処女性を読み取る点は阪倉に帰属する。
阪倉篤義 2011 提唱
「をみな」とは別であった。
- 文献
- 増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- 第一部1「名づけの由来」の節「「おんな」の語源」、ダンプ頁037
National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 支持
- 文献
- Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
- 立場
- 支持(別の説を支持します)
- 箇所
- lexicon.xml語彙素l050145(wotomye)・l052346(womina)
comparison_set ●●● 定説
『古事記』応神天皇条の歌謡は、同じ女性を前半で袁登売、後半で袁美那と呼ぶ。
二つの全表音形は同一歌謡にあり、反復される「阿波志斯」と叙述の流れが同じ女性への言及を示す。
阪倉篤義 2011 記述
同一の女性を、ヲトメともヲミナとも言っている
- 文献
- 増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
- 立場
- 記述(そう書いてあります)
- 箇所
- 第一部1「名づけの由来」の節「「おんな」の語源」、ダンプ頁038
National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
阿波志斯袁登賣/阿波志斯袁美那
- 文献
- Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
- 立場
- 記述(そう書いてあります)
- 箇所
- KK.42、行16・33
comparison_set ●○○ 提案
阪倉は年齢範囲の近いをとめとをみなが混同され、その結果をとこ・をみなの新しい対が成立したとみる。
『古事記』歌謡の共指例は両語の意味領域の接近を示す。そこから体系の組み替えを導く部分は阪倉の説明である。
阪倉篤義 2011 提唱
両者は、年齢の似よりもあって、いつのまにか混同されてしまったらしい。
- 文献
- 増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- 第一部1「名づけの由来」の節「「おんな」の語源」、ダンプ頁038
comparison_set ●●● 定説
万葉集二〇・四三一七の乎等古乎美奈は、をとこ・をみなを宮仕えの男女の一対として並べる全表音例である。
ONCOJは同じ句の乎等古をwotokwo、乎美奈をwominaに同定し、双方を表音表記と注釈する。
National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
乎等古乎美奈能
- 文献
- Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
- 立場
- 記述(そう書いてあります)
- 箇所
- MYS.20.4317、行3、語彙素l050146・l052346
吉村誠 2019 記述
- 文献
- 万葉集テキストデータ データセット
- 立場
- 記述(そう書いてあります)
- 箇所
- 万葉集20・4317、原文欄・仮名欄
阪倉篤義 2011 記述
乎等古乎美奈の花にほひ見に
- 文献
- 増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
- 立場
- 記述(そう書いてあります)
- 箇所
- 第一部1「名づけの由来」の節「「おんな」の語源」、ダンプ頁038~039
別語彙素 ●○○ 提案
阪倉はをのこを男の子・従僕・軍卒など比較的身分の低い男性、をとこを結婚の相手として捉えられる男性を指した語として区別する。
ONCOJは両語を別語彙素に立て、をのこの語義をman・boy、をとこの語義をyoung manとする。社会的身分と婚姻性の対比は阪倉の語義史である。
阪倉篤義 2011 提唱
従僕とか軍卒とかの、あまり身分の高くない男性を言った
- 文献
- 増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- 第一部1「名づけの由来」の節「「おんな」の語源」、ダンプ頁039
National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 支持
- 文献
- Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
- 立場
- 支持(別の説を支持します)
- 箇所
- lexicon.xml語彙素l052350(wonokwo)・l050146(wotokwo)
継承・形変化 ●●● 定説
上代のをとこは、後代のおとこへ続く。
阪倉はをとこを同じ語の後世・今日の用法まで連続して論じ、DCCJの中古・中世資料は「をとこ」と「おとこ」を同一語彙素にまとめる。
阪倉篤義 2011 記述
- 文献
- 増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
- 立場
- 記述(そう書いてあります)
- 箇所
- 第一部1「名づけの由来」の節「「おんな」の語源」、ダンプ頁039~040
于 拙 2026-08-20 支持
- 文献
- 日本語通時連語コーパス(DCCJ) データセット
- 立場
- 支持(別の説を支持します)
- 箇所
- 語彙素224
継承・形変化 ●○○ 提案
阪倉はおんなをwomina>womna>wonna>onnaの変化の結果とする。
阪倉は中間段階を含む連鎖を明記する。DCCJには中古・中世の表層形「をんな」と「おんな」があるが、
womnaという中間形を独立に文証する資料はこの項目で確認していない。
阪倉篤義 2011 記述
womina>womna>wonna>onna
- 文献
- 増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
- 立場
- 記述(そう書いてあります)
- 箇所
- 第一部1「名づけの由来」の節「「おんな」の語源」、ダンプ頁034
于 拙 2026-08-20 支持
- 文献
- 日本語通時連語コーパス(DCCJ) データセット
- 立場
- 支持(別の説を支持します)
- 箇所
- 語彙素252
語義変化 ●○○ 提案
阪倉は結婚相手としての男性を指したをとこの適用範囲が、男性一般へ広がったとする。
上代のyoung manというコーパス語義と後世の一般的な男の語義は確認できる。婚姻性を原義として変化を方向づける点は阪倉の説明である。
阪倉篤義 2011 提唱
やがてその適用の範囲が広がって、男性一般を言うようになった。
- 文献
- 増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- 第一部1「名づけの由来」の節「「おんな」の語源」、ダンプ頁039~040
語義変化 ●○○ 提案
阪倉はをとこの一般化に伴い、対語のをみなから続くおんなも女性一般を指すようになったとする。
ONCOJのwominaはyoung woman、後世のおんなは女性一般を指す。両語の対関係によって意味拡張を説明する部分は阪倉の提案である。
阪倉篤義 2011 提唱
女性一般を指して言うようになる。
- 文献
- 増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- 第一部1「名づけの由来」の節「「おんな」の語源」、ダンプ頁039~040
語義変化 ●○○ 提案
阪倉は後世のをとこ「情人」を、結婚相手として考えられる男性という古い意味の名残りとする。
情人義の由来を婚姻対象としての古義に求める阪倉の意味史である。
阪倉篤義 2011 提唱
「をとこ」が特に情人の意味に用いられるのは、その名残りである
- 文献
- 増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- 第一部1「名づけの由来」の節「「おんな」の語源」、ダンプ頁039~040