語源項目

*kan-

かぬ・兼

編纂案 上代日本語 語根 Frellesvig-Whitman転写

*kan-(かぬ・かなふ・かねて)の単語家族

資料横断で引く かぬかなふ

単語家族と見出しの単位 4件

*kan-「兼」かぬ・かなふ・かねて provisional

阪倉2011はkanu〜kana+siと記し、かなふをかぬから導く。 *kan-は両分析に共通する語基を示す編集上の再建形である。 *kan-uは同じ語基を用いる編集上の形態分析である。ONCOJが別の語彙素に立てる本動詞と補助動詞は個別の単位に置く。 本動詞の「併せる」「先を見込む」、補助動詞の不可能義、副詞かねての語義は、それぞれの単位に属する語義として記録する。 語義間の方向づけは個々の主張に置く。語形の共通部分だけから同源関係や意味変化を認定しない。 副詞かねてはkanete-beforehand.yaml、かなしの単語家族はkanasi.yamlで記述する。 接尾語がねは阪倉の派生説に基づく成員候補とする。

*kan- 説内
言語
上代日本語
種別
語源形
品詞
語根

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かぬ 兼 文証
言語
上代日本語
種別
語
品詞
動詞(下二段)

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National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
kane / verb / combine; foresee
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l030504a
かぬ 兼 文証
言語
上代日本語
種別
語
品詞
補助動詞(下二段)

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National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
kane / verb / fail
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l030505a
かなふ 適・叶 文証
言語
中古日本語
種別
語
品詞
動詞(四段)

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于 拙 2026-08-20 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
日本語通時連語コーパス(DCCJ) データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素1490

語形0件

語形情報はありません。

語形の状態 文証 再建 編集 説内
主張の等級 定説 通説 提案 推測 疑義

語義3件

ある一点を基準に、ほかの点にわたって併せる。

阪倉篤義 2011 記述
ある一点を基準にして、それから他の点にわたって、これを併せることを意味する語であった。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
第二部5「悲哀と愛情」の節「かなし」の語源、ダンプ頁281

先を見込む。予想する。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
foresee
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l030504aの語義2

…できない。…しきれない。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
fail
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l030505a

諸説 2説/主張8件

*kan-を置く形態分析

主張3件

阪倉のkanu〜kana+siをもとに共通語基*kan-を置き、かぬを*kan-uと分析する。 かなふの形成は阪倉の提案に拠る。

再建 推測

*kan-をかぬ・かなふに共通する語基として置く。

*kan-は阪倉のkanu〜kana+siから共通部分を抽出した編集上の再建形である。 阪倉はかなふをかぬから導く。*kan-を独立した再建形として示す出典は確認していない。

阪倉篤義 2011 支持
このような意味の「かぬ」を基にして、九七―九八ページに説いたような方法で構成されたのが、「かなし」という形容詞であったと考えられる(kanu〜kana+si)。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
支持(別の説を支持します)
箇所
第二部5「悲哀と愛情」の節「かなし」の語源、ダンプ頁282
阪倉篤義 2011 支持
この「かなわない」という言い方における「かなふ(適う・叶う)」という動詞も、やはり先の「兼ぬ」に、動詞構成の接尾語「ふ」の接して構成された語であろう。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
支持(別の説を支持します)
箇所
第二部5「悲哀と愛情」の節「男の「かなしさ」」、ダンプ頁293
派生 推測

上代日本語かぬの終止形を*kan-uと分析する。

阪倉のkanu〜kana+siに*kan-の切れ目を加えた編集上の分析である。 ONCOJはこの下二段動詞をkaneとして立項し、*kan-uという再建表記を用いない。

阪倉篤義 2011 支持
このような意味の「かぬ」を基にして、九七―九八ページに説いたような方法で構成されたのが、「かなし」という形容詞であったと考えられる(kanu〜kana+si)。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
支持(別の説を支持します)
箇所
第二部5「悲哀と愛情」の節「かなし」の語源、ダンプ頁282
National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
kane / verb / combine; foresee
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l030504a
派生 推測

阪倉はかなふ(適う・叶う)を、兼ぬに動詞構成の接尾語ふが接した語とし、「含み併せる」から「適合する」「可能である」「うまく行く」へ転じたとみる。

阪倉自身が「であろう」と留保して述べる。かなしと同じ語基に置くことで「かなわない」とかなしの意味の重なりを説明する。

阪倉篤義 2011 提唱
この「かなわない」という言い方における「かなふ(適う・叶う)」という動詞も、やはり先の「兼ぬ」に、動詞構成の接尾語「ふ」の接して構成された語であろう。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部5「悲哀と愛情」の節「男の「かなしさ」」、ダンプ頁293

〜かねて構文からの不可能用法成立説(小澤)

主張2件

本動詞かぬの「予想」義を起点に、〜かねて構文の逆接的解釈を経て補助動詞の不可能用法が成立したとみる。 〜かねつ(も)は不可能を表す〜かねて構文からの類推に位置付ける。

語義変化 提案

小澤は、本動詞かぬの「予想」義を起点とし、〜かねて構文で予想した事態と現実の事態が逆接関係を取った結果、望ましい事態の未実現を示す不可能用法が成立したとする。

2025年の査読論文が記紀歌謡と万葉集の用例を構文環境ごとに調べ、明確に訓める89例に基づいて提案する。 2024年の大会予稿は同じ研究の前段階で、義訓表記6例を含む95例を集計している。証拠の重みは完成稿に置く。

小澤颯太 2025-08-01 提唱
文献
上代における不可能をあらわす「~かねて」構文・「~かねつ(も)」構文の成立 論文/日本語の研究21(2)
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
4.2「『万葉集』における用法の拡張」(pp.7–9)、7「おわりに」(pp.13–14)
小澤颯太 2024-06-02 提唱
文献
上代における不可能の補助動詞「かぬ」の成立―従属節用法に着目して― 論文/日本語学会2024年度春季大会予稿集
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
4「従属節の『かねて』と不可能用法」(pp.33–34)、6「おわりに」(p.36)
analogy 提案

小澤は、不可能を表す〜かねつ(も)が〜かねて構文への類推で成立し、条件節などの構文環境と終助詞もが現実の事態との関係を支えたとする。

2025年論文は倒置例・二文形式・接続表現との共起・終助詞もの分布を根拠に、両構文の連続を論じる。

小澤颯太 2025-08-01 提唱
文献
上代における不可能をあらわす「~かねて」構文・「~かねつ(も)」構文の成立 論文/日本語の研究21(2)
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
5「〜かねつ(も)構文への派生」(pp.9–12)、7「おわりに」(pp.13–14)
小澤颯太 2024-06-02 提唱
文献
上代における不可能の補助動詞「かぬ」の成立―従属節用法に着目して― 論文/日本語学会2024年度春季大会予稿集
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
5「『かねつ(も)』への派生」(pp.35–36)

その他の主張3件

語義変化 提案

阪倉は、現在から将来を見込んで予定するかぬの用法を、ある一点から他の点にわたって併せる意味の一つの場合とする。

阪倉の意味関係の説明に基づく方向づけである。ONCOJはcombineとforeseeを並べ、発生順序を示さない。

阪倉篤義 2011 提唱
現在から将来を見込んで予定するような意味を表わすのも、その一つの場合で
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部5「悲哀と愛情」の節「かなし」の語源、ダンプ頁282
派生 通説

阪倉はかぬの名詞形かねが聟がね・后がねのように予定者を表す接尾語に用いられたとする。

阪倉が述べる派生関係である。精選版日国はがねを本来名詞と考えるが、かぬからの派生を明示しない。ONCOJにもこの派生関係の記載は無い。

阪倉篤義 2011 記述
「かね」という名詞形は、「聟がね」「后がね」のように、「〜予定者」の意味の接尾語に用いられた。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
第二部5「悲哀と愛情」の節「かなし」の語源、ダンプ頁282
提唱者 推測

小澤は、補助動詞〜かぬが形容詞かなしに由来するという先行説を紹介する。 この説の出典として阪倉篤義(2011)と『古典基礎語辞典』を挙げ、根拠が明確でないと評する。

帰属と評価は小澤2025の注4から採る。阪倉2011の確認済み箇所は逆方向の形成を述べており、 『古典基礎語辞典』の該当項目は未見である。

小澤颯太 2025-08-01 critiques
明確な根拠に欠けるため採用しない。
文献
上代における不可能をあらわす「~かねて」構文・「~かねつ(も)」構文の成立 論文/日本語の研究21(2)
立場
critiques(立場の定義なし)
箇所
p.14注4

単語家族の成員7件

語根拠
*kan-c-kan-root-editorial
かぬc-kan-u-editorial
かぬc-kanu-negative-potential-ozawa
かなふc-kanapu-derivation
かねてkanete-beforehand.yamlのc-kanete-kane-te-nikkokuが本動詞かぬの連用形かねに助詞てが付いた形成を記す。
かなし 候補kanasi.yamlのc-kanu-derivationが阪倉のかぬからの形成説を述べる。かなしの単語家族を別に保ち、この単語家族では成員候補とする。
がね 候補c-gane-nominal-sakakuraが名詞形かねとの関係を述べる。ONCOJは接尾語がねを独立の語彙素l090555に立て、派生関係を記さない。

用例0件

用例はありません。

外部データベース2件

oncoj

本動詞かぬの語彙素l030504a。

https://oncoj.ninjal.ac.jp/cgi-bin/lexicon.sh?lemma=l030504a

J-STAGE 科学技術振興機構

小澤颯太2025の論文公開頁。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nihongonokenkyu/21/2/21_1/_article/-char/ja/