語源項目

ita

いた・甚・痛

文証 上代日本語 語根 Frellesvig-Whitman転写

いた(上代日本語ita)の単語家族――いたし・いたむ・いたはし・いと・いとふ・いとはし・いとほし・いとし

単語家族と見出しの単位 9件

*ita「甚・痛」いた・いと source

阪倉1978が第二部3・4で一つの語基に帰す語をmembersに置く。上代に文証されるのは副詞いた・形容詞いたし・ 形容詞いたはし・副詞いとで、いたむ・いたまし・いとふ・いとはし・いとほし・いとしはDCCJの中古の語彙素と 阪倉が挙げる中世の用例に拠る。

*いた 説内
言語
上代日本語
種別
語根
品詞
語根

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いた 甚 文証
言語
上代日本語
種別
語
品詞
副詞

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National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
ita / adverb / extremely
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l090049
いと 文証
言語
上代日本語
種別
語
品詞
副詞

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National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
itwo, ito / adverb / very
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l004002
いたはし 労 文証
言語
上代日本語
種別
語
品詞
形容詞(シク活用)

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National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
itapasi / adjective / painful
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l007065
いたむ 痛 文証
言語
中古日本語
種別
語
品詞
動詞(四段)

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于 拙 2026-08-20 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
日本語通時連語コーパス(DCCJ) データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素2594
いたまし 痛 文証
言語
中古日本語
種別
語
品詞
形容詞(シク活用)

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于 拙 2026-08-20 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
日本語通時連語コーパス(DCCJ) データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素182
いとはし 厭 文証
言語
中古日本語
種別
語
品詞
形容詞(シク活用)

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于 拙 2026-08-20 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
日本語通時連語コーパス(DCCJ) データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素3082
いとほし 文証
言語
中古日本語
種別
語
品詞
形容詞(シク活用)

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于 拙 2026-08-20 記述

公開データには引用本文を収録していません。

文献
日本語通時連語コーパス(DCCJ) データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
語彙素3916
いとし 文証
言語
lmj
種別
語
品詞
形容詞(シク活用)

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阪倉篤義 2011 記述
これが短く発音されたのが「いとし」で
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いとし」の原形」、ダンプ頁219

語形0件

語形情報はありません。

語形の状態 文証 再建 編集 説内
主張の等級 定説 通説 提案 推測 疑義

語義2件

ひどく。はなはだ。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
extremely
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l090049の語義欄

痛い。ひどい。

National Institute for Japanese Language and Linguistics 2021 記述
painful; sick; terrible
文献
Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese データセット
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
lexicon.xml語彙素l007010の語義欄

諸説 1説/主張10件

語基いた「極限」の単語家族(阪倉)

主張8件

極限の状態を意味する語基いたを中心に、副詞いた・形容詞いたし・いたむ・いたまし・いたはし・いたはるを置き、 母音交替形いと(itö)から、いとふ・いとはし・いとほし・いとしを導く。いたわしい・いたましい(同情)、 いとわしい(嫌悪)、いとおしい・いとしい(愛情)を、わが心の痛みを言う一つの根から分かれた姉妹語とみる。

切れ目 提案

阪倉はいたはし・いたはる・いたる・いたし・いたく・副詞いたの語基に、極限の状態を意味する「いた」を立てる。

副詞いたと形容詞いたしの語幹が同形であることはONCOJの語彙素から直に読める。いたる(到る)を同じ語基に置く点と、 「極限」を中核義とする点は阪倉の解釈である。

阪倉篤義 2011 提唱
この「いたはし」「いたはる」などの語の語基として、「いた」という語が考えられる。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いた」は極限を示す」、ダンプ頁203–204
母音交代 推測

阪倉は数詞いち(一)を、極限を意味するいたの母音交替形とみる(ita〜iti)。いちしろし・いちはやしのいちが程度のはなはだしさを言うことを傍証とする。

阪倉自身が「であろう」と留保する。数詞ひと(一)との関係には触れない。

阪倉篤義 2011 提唱
数の最小のものを一(いち)というのも、これの母音が交替した形であろう(ita〜iti)。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いた」は極限を示す」、ダンプ頁204
母音交代 提案

阪倉は副詞いと(乙類のト。阪倉の表記でitö、ONCOJの転写でito)をいたの母音交替形とみ、a〜öの交替の例にタナぐもる―トノぐもる、タナびく―トノびく、きカす―きコす、よサづら―よソづら、ナす―ノす、サヤぐ―ソヨぐを挙げる。いたは動詞も形容詞も修飾した。いとは形容詞の修飾に限られ、動詞の修飾にはいたくが用いられた。

a〜öの交替は上代語に多数の例があり、阪倉と川端が並べる。いたといとを同じ語基に置く判定は意味(程度のはなはだしさ)と分布(いたの消滅といと・いたくの分担)に基づく。

阪倉篤義 2011 提唱
やはり「いた」の母音交替した形と考えられるもので、その「と」は、いわゆる乙類の仮名で書かれた。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いた」は極限を示す」、ダンプ頁206
阪倉篤義 2011 記述
こういうa〜öの交替は、タナぐもる――トノぐもる(一面に曇る)
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いた」は極限を示す」、ダンプ頁206
語形成 提案

阪倉はいたはしの構成を、語基いたに接尾語はし(うるはし・にぎはし・いそがはし・いたづかはし・まぎらはし・くもらはし・につかはしのはし)が接したものと説明する。動詞いたふからの形成(itaFu>itaFa+si)は、いたふの用例が見当たらないため採らない。

接尾語はしを持つ形容詞の列に並べる説明で、阪倉は「今のところ」の説明と断る。

阪倉篤義 2011 提唱
その構成は、「いた」という語基に、接尾語「はし」
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いたはし」と「いとほし」」、ダンプ頁213
母音交代 推測

阪倉は、いたといとの交替関係から、動詞いとふ(厭ふ)を想定上の動詞いたふの母音交替形と関係づける(itaFu〜itöFu)。いたむは自動詞的である。いとふは他動詞的で、心にそまないものを厭い避けることを言う。

いたふは文証されず、阪倉自身が「考えられる」と留保する。

阪倉篤義 2011 提唱
この「いたふ」と関係づけ得る語として「いとふ」という動詞が考えられる(itaFu〜itöFu)。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いたはし」と「いとほし」」、ダンプ頁214
派生 提案

阪倉はいとはしを動詞いとふから作られた形容詞とみる(itöFu>itöFa+si)。心に苦痛を感じるさまが原義で、そこから「厭だ、避けたい」になる。

情意動詞から作られるシク活用形容詞の型(yasasi.yaml、c-siku-pattern)の一例。DCCJに「厭う」の語彙素があるかは確かめていない。

阪倉篤義 2011 提唱
これからできた形容詞が「いとはし」で(itöFu>itöFa+si)
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いたはし」と「いとほし」」、ダンプ頁214
音韻変化 提案

阪倉はいとほしを、いとはし(itöFasi)のFaが先行するi・öの狭い母音に引かれてFöに転じた形とみる。したがって原義は同じく「厭な気持がする」で、『源氏物語』帚木・『枕草子』の例をその義で読む。

いとはしといとほしを同語の異形とみる説明で、阪倉は「思われる」と留保する。同化の規則を他語で示していない。

阪倉篤義 2011 提唱
itöFasiのFaが、前に i・öという狭い母音が続くのに引かれてFöに転じた形が、このitöFösiであったと思われる。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いたはし」と「いとほし」」、ダンプ頁214
音韻変化 提案

阪倉はいとしを、いとほし>いとおし(itowosi)>いとうし(itousi)>イトーシ(ito:si)の変化を経て短く発音された形とみる。『閑吟集』のいとおし・いとうし、天草本『エソポ物語』のitôxi、『日葡辞書』のItoxijを段階の証とする。

中世の資料の綴りに沿った説明で、各段階の語形が文献に現れる。

阪倉篤義 2011 提唱
これが短く発音されたのが「いとし」で
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いとし」の原形」、ダンプ頁219

収録されている語源説は1件です。

その他の主張2件

別語彙素 提案

阪倉は万葉集の副詞いとに、乙類のトで書く7首(伊登・伊等・五十殿。ONCOJの転写ではito)と甲類のトで書く3首(伊刀。転写itwo)を分け、前者は基準を越える程度のはなはだしさ(客観性)、後者は基準を置かない主観的なはなはだしさを言うとする。「いとのきて」4例はすべて乙類で書かれる。

10首の内訳は阪倉の数えである。ONCOJの語彙素l004002は9例(ito6例・itwo3例)で、いとのきての4首は この語彙素に含まれず、対応は未照合である。意味の別は阪倉の読みで、阪倉自身も奈良時代末期のト甲乙の混同を 踏まえて、同じ語とみる可能性を留保する。

阪倉篤義 2011 提唱
やはり「イと」と「イト」との間には、右のような意味の区別があったと考えてよいと思われる。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
提唱(その出典が言い出します)
箇所
第二部4「〈ことざま〉と〈こころざま〉」の節「主観性と客観性」、ダンプ頁233
派生 通説

阪倉はいたましを動詞いたむから作られた形容詞とみる(itamu>itama+si)。いたむは心に苦痛を感じることを意味し、『徒然草』では「困る、迷惑する」の義に用いられる。

いたむとの関係は辞書類に共通する説明で、阪倉は情意動詞から作られるシク活用形容詞の型に置く。

阪倉篤義 2011 記述
この「いたむ」という動詞を基に、前述のような方法で「いたまし」という形容詞が構成された(itamu>itama+si)。
文献
増補 日本語の語源 書籍/平凡社ライブラリー729
立場
記述(そう書いてあります)
箇所
第二部3「心のいたみ」の節「「いたし」と「いたむ」」、ダンプ頁211

単語家族の成員10件

語根拠
いた(ita)ONCOJ語彙素l090049。14例、うち6例が仮名書き。『古事記』允恭天皇条「伊多泣かば」、万葉集二七三六「風を痛み」を阪倉が例として挙げる。
いたし【痛し】(ita-)ONCOJ語彙素l007010。81例、うち25例が仮名書き。単位の正本はneta-jealous.yamlにある。
いと(ito・itwo)ONCOJ語彙素l004002。9例。乙類の登・等で書く例(転写ito)と甲類の刀で書く例(転写itwo)がある(c-itwo-kou-otsu)。
いたはし【労し】(itapasi)ONCOJ語彙素l007065。5例、うち2例が仮名書き。
いたむ【痛む】DCCJ語彙素2594。17例。
いたまし【痛まし】DCCJ語彙素182。6例。
いとはし【厭はし】DCCJ語彙素3082。24例。
いとほしDCCJ語彙素3916。649例。
いとし阪倉が挙げる『閑吟集』と『日葡辞書』(Itoxij)の例に拠る。
*itas「痛」 候補尹2020がnetaの第二要素として置く再建形で、阪倉1978のita語基との同一性は出典間で照合されていない。

用例0件

用例はありません。

外部データベース1件

oncoj

いたし(l007010)といた(l090049)は関係欄で「related」に結ばれる。

https://oncoj.ninjal.ac.jp/cgi-bin/lexicon.sh?lemma=l007010