磨るのsur-
主張5件
擦り付ける動作を担う四段動詞。マーティンは*sura-(アクセント類B)に遡らせ、 同じ語根から自動詞のsureru(*sura-Ci-)を立てる。濁音のずる・ずれるは、 角川古語大辞典が「する(擦)の転か」とし、マーティンは鼻音の前接辞*n-を 疑問符付きで立てて同じ語根*sura-に繋ぐ。
マーティンは磨るのsuruを*sura-に遡らせ、アクセント類をBとする。語義は「rub; grind; print; pick one's pocket」とする。
疑問符を伴わない再建。同じ頁のsureru「rub against each other; chafe」(< *sura-Ci-)が 同じ語根から立つ。語義欄のprint(摺る)は布に模様を摺る用法の後継にあたる。 島袋2007は本文の文字層をrubで検索して動詞suruの再建が無く、 この語のアクセント史の再建はマーティンの1件のみである。
Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
B suru < *sura-. 'rub; grind; print; pick one's pocket'. B - B-B-B x-B-x. Edo B. Ib B. Nk sin B; Sr şir- B.
- 文献
- The Japanese Language through Time 書籍
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- 第6章§6.6(p. 759)
マーティンはすれるをsure[y]-を経て*sura-Ci-に遡らせ、アクセント類をBとする。 語義は「rub against each other; chafe」とする。
疑問符を伴わない再建。他動詞のsuruと同じ語根*sura-に*-Ci-を重ねた形で、 焼くyak/焼けるyake・切るkir/切れるkireと同じ、四段・下二段の自他の対を 祖語の側から立てる。首里方言のşirir-(B)を「get past the appointed time」の 語義で併記する。
Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
B sureru < sure[y]- < *sura-Ci-. 'rub against each other; chafe'. (B) - B-B-B x-?B-x. Ib B. Sr şirir- B < *sure- 'get past the appointed time'.
- 文献
- The Japanese Language through Time 書籍
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- 第6章§6.6(p. 759)
角川古語大辞典はずるを「する(擦)」の転かとし、擬態語のずるずるとも 語源的につながる語であろうと述べる。
「転か」と疑問の助辞を伴う辞書の語源注で、これより強い根拠は挙げられていない。 語頭の濁音化の過程も特定されない。ずるの例は近世(1722年)まで下り、 上代語のsur-との間の中間段階は文証されない。マーティンはずれるの側に 鼻音の前接辞を疑問符付きで立てる(c-zureru-martin)。
中村幸彦 1982-1999 提唱
公開データには引用本文を収録していません。
- 文献
- 角川古語大辞典 辞典
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- ず・るの項
マーティンはずれるをzure[y]-を経て*n- sura-Ci-に遡らせる。鼻音の前接辞*n-が 語頭の濁音を担い、語根は磨るのsuruと同じ*sura-である。前接辞には疑問符が付き、 アクセント類は?A/Bとする。
前接辞の同定に疑問符が付く再建。同じ頁の直前に他動形のzurasu(< *n- sura-sa-)と 名詞のzure(discrepancy, lag)が同じ構成で並ぶ。角川古語大辞典の「する(擦)の転か」 (c-zuru-kadokawa)と同じ対応を、濁音の由来まで特定して述べる形にあたる。
Martin, Samuel Elmo 1987 提唱
?A/B zureru < zure[y]- < *n-?pre sura-Ci-ʙ. (vi.) 'slip (out of place)'. x - B-A[U]/B[H]-A x-x-x. Ib B. ‖ zure 'discrepancy, lag' x - B-2-A x-x-x.
- 文献
- The Japanese Language through Time 書籍
- 立場
- 提唱(その出典が言い出します)
- 箇所
- 第6章§6.6(p. 789)
下一段のずれるは下二段のずるの後継形である。精選版日本国語大辞典はずれるの見出しに 文語形としてず・る(自ラ下二)を掲げ、ずるの項の下二段をずれるへ送る。
下二段から下一段への移行は活用の一般的な変化で、辞書は両形を同じ語の 文語形・口語形として扱う。四段のずると下二段のずる(ずれる)の対は、 四段のするに対する下二段のする(すれる)の対と同じ切れ目にあたる。
精選版日本国語大辞典 2006 記述
公開データには引用本文を収録していません。
- 文献
- 精選版日本国語大辞典 辞典
- 立場
- 記述(そう書いてあります)
- 箇所
- ずれるの項の見出し行